ユーロ/円相場は、98円台中盤を中心に揉み合う展開になっている。経済指標に関しては欧州経済の減速を示すものが多く見受けられるが、6日に欧州中央銀行(ECB)理事会を控えて積極的に仕掛ける動きは鈍く、膠着気味の展開になっている。米金融緩和期待からドル相場が軟化したことで、対ドルでユーロ高が進んだことも、ユーロ/円相場の下値をサポートした。
ECBの政策対応に注目が集まるが、重債務国の国債購入に向けて何らかの進展が見られるとの期待感が強い。ドラギ総裁は31日のジャクソン・ホールのフォーラムにも欠席して調整に当たっていることで、0.25%の利下げに加えて、何らかの証券市場プログラム(SMP)が導入されるのがメインシナリオになる。ただ、ドラギ総裁は3日、ECBが年限3年程度までの国債を購入することに問題はないとの見解を示しており、長期債の購入には否定的なスタンスを示している。また、ドイツ国債利回りに対するスプレッドの上限設定、国債買い入れの規模などに不透明感が強く、実際にECBがマーケットの期待に応えられるのかは不透明感が強い。ECBの政策対応次第では、改めてユーロ売りが膨らむリスクに注意が必要である。
ユーロ圏の8月製造業景況指数は、速報の45.3から45.1まで下方修正された。7月の独鉱工業生産指数も前月比横ばい、前年同月比-3.0%と低調であり、欧州経済の減速傾向は続いていることが確認されている。5日には7月ユーロ圏小売売上高の発表も控えているが、市場予測は前月比-0.2%であり、ユーロの本格反発シナリオを描くのは難しい。ECB理事会の結果次第であるが、ユーロの戻り売りスタンスを継続したい。
今後1週間の予想レンジは、97.00~99.50円。